ネットワークに既存の著作権は役に立たない,捨てていい。ネットワークに既存の倫理は役に立たない,捨てていい。ネットワークに既存の法律は役に立たない,捨てていい。なにも残らないが,人のモラルはある。モラルの試される,場所。
タンパ市が求めていた,多数の女性の自室を24時間ウェブ中継するのぞき見サイト「ボワイヤードーム・コム」の閉鎖を,最高裁は却下した。それを褒めたたえ「インターネットは,誕生のはるか以前に書かれた法律で規制されるべきでないのは明白だ」という声もある。
それでなくてもネットには,のぞきをしているかのような感覚がある。必ず,みるには意志が介在していて,今はまだ狭いモニタのなかをのぞき込むように情報が存在している。本当は同じものをたくさんの人がみているのだが,自分の前にある情報には自分がみていることしか気付かない。他の人から離れて,自分だけがみている感じを受ける。
うわさ話,のぞき,ストーカー,盗み,などはネットの日常だ。どこから出たのかわからないうわさ話が一瞬で拡散するし,クッキーやアクセスログによるストーカーも簡単,セキュリティホールが次々と出てくる中で,ちょっと勉強してクラッキングすれば誰かのパソコン内のファイルを盗むなんてこともやれないことぢゃない。そもそも,ファイル共有ソフトは悪意のない(ある場合もあるけど)盗みの遊び,という側面もある。だがそれにリアルの法律を持ってきても意味はない。それが,普通だからだ。あるのは,モラルだけ。もしこの世界が崩壊したとしたら,それは人間という種族がそんなものに過ぎなかった,ってことだけだ。
|